ASIAN KUNG-FU GENERATION - Wonder Future
開始1秒。
「Easter / 復活祭」のイントロ。
この時点で音が良すぎる。
名盤の予感が溢れる。
ということで動画を貼ったのだけど、
これはどうもシングル盤らしい。
これは別に、音良くも悪くもない。
イントロが流れて、なんだこれ、すげえ、ってなるためには、
アルバムを買うしかないようだ。
で、すごいのは、そのクオリティが全編にわたって続くことだ。
「Standard / スタンダード」なんて泣きそうになる。
アルバムに入る前はなんとも思っていなかったのに。
と思ってPVを貼ってみると、やっぱり音がぜんぜん違う。
これもアルバム版を聴かなければ伝わらない。
この作品はフーファイターズのスタジオにある、
古い、伝説的なコンソールで録ったそうだ。
コンソールのビンテージ品なんて信じていなくて、
新しいもの使ったほうが絶対良い音で録れるだろとか思ってしまっていたけど、
こんな出来の作品を出されてしまうとその伝説を信じてしまう。
でもシングル盤の音が普通なことを考えると、
単純にアルバム盤のエンジニアが好みの音を作る人だったってだけかもしれない。
アジカン、「ワールドワールドワールド」まではリアルタイムで聴いていた。
その「ワールドワールドワールド」、周りでは名盤と言っている人も多いのだけど、
あの適度にドンシャリした音とか、ボーカルの作り方とか、何となく受け付けられなかった。
その後も、曲単位では良いと思えるものはあっても、
アルバムを聴いておっとなることはなくて、
だから正直、このアルバムに対する期待値はそうでもなかった。
出たのは知っていたけど、聴いたのは一年後ぐらいだったと思う。
間違いだった。
とんでもない名作である。
長らくトップだった「君繋ファイブエム」を押しのけて個人的アジカンランキングのトップを、
というか、アジカンに絞らなくても個人的名盤トップ勢に入ってくる、大好きな作品だ。
いかんせん、YouTubeに上がっているものはアルバム盤と音が違って、
伝えきれないのが歯痒い。
唯一、アルバム盤と同じっぽい「Opera Glasses / オペラグラス」のPVを貼る。
これはサウンドの妙っていうよりは、普通に曲が良いって感じがするけど、
一端でも伝われば。
Beck - Colors
Modern Guilt以降のベックは本当に神がかっていて、
人間を超越した何かになってしまったんじゃないかと思うぐらいだが、
今回もすごい出来だ。
このアルバムはいつから作っていたのだろうか。
常に新譜を出すと言っていて、大体出ないので、
もう公式の情報を真面目に追ってないのだけど、
Morning Phaseのちょっと前ぐらいにやっていた、
Defriendedとかのときのアルバムがようやく出たのだろうか。
あるいは、あれはボツになって、これは全く新しい作品なのだろうか。
5年ぐらい作っていたと言われても納得できるくらい、音が完璧だ。
なんというか、2017年的なマスタリングというか、
本来この手の音は苦手なのだけど、聴けてしまう。
こんなに、死ぬぐらいポップな曲調なのに、
ぎりぎりのところで胸焼けせずに聴いていられる。
のは、単純に私がベックファンだからかもしれないが。
これだけ質の良いポップスをやられてしまうと、
もう他のポップスが必要なくなってしまうのではないか。
困ったものだ。
そこまで思うのは、単純に私がベックファンだからかもしれないが。
Sign Magazineがインタビューを載せてくれている。
ベックって、こんなに自分のやってることをしっかり言葉にする人だっただろうか。
でも、このアルバムはそういうモードだ。曖昧にしていないというか。
「でも、このレコードに関しては、とにかくより野心的になろうと自分をプッシュしたんだよ。例えば、以前は曲を作っては仕上げる前に、『この作りかけの感じがクールじゃん』ってなることがあったんだよ。中途半端なのがいいってね」
「でも、今はアイデアがあったら、ちゃんと最後まで仕上げて、できるだけベストなものにしようとしてるんだ。そのせいで仕事量はずっと増えたし、自律が必要になってきた。実際、その方がいい曲になるのかどうかさえ、僕にはわかんないんだけど」
まさに、「ちゃんと最後まで仕上げ」たアルバムだと思う。
ベックと、グレッグ・カースティンという、本当に音楽大好きな人たちが、
本気で、全力でポップスを作ったらこうなる、という作品だ。
オルタナティブの旗手として、
とっ散らかった音楽をやりながらこれだけ売れてきたベックだからこそ、
このポップさに説得力がある。
特に、「Dear Life」が好きだ。PVを貼っておく。
これぐらいのポップスが10曲並んでいて、胸焼けすることなく聴ける。
本当に素晴らしいアルバムだと思う。